異類婚姻譚が世界的に存在するということについて、どの地域でも人間と動植物との関係が密接だったと考えてよいのでしょうか?

狩猟採集社会に一般的な神話ですので、例えばヨーロッパでも同様に動植物/人間が近しい時代があったと想定されます。キリスト教が両者にある程度の境界を設定しても、古ヨーロッパ的な心性は民俗として残り、多様な伝説や祭礼を生み出してゆきます。異端審問資料に現れる悪魔崇拝サバトなどは、そうした前キリスト教シャーマニズムの残存形態であると、ギンズブルグなどの歴史家が明らかにしています。彼は、「赤ずきん」の伝承を研究対象としてユーラシア的シャーマニズムの広がりを考察しましたが、中国の唐代などにもよく似た説話が残っているのです。