ヨーロッパにもアジアと類似の猫の伝説が存在する、同じような猫の習性が起源となっているとのことでしたが、両者のネコに具体的な相違はないのでしょうか? / 世界中で猫の不思議な話が伝えられているとのことですが、その国の文化や慣習などによって、少しずつ内容が変化したりするのでしょうか。 / 西洋でも日本でも、「猫を飼う」という文化は同時期からあったのでしょうか。それは同種の猫だったのでしょうか。

家猫の起源は概ねリビア猫(Felis lybica)とされていて、まずエジプト周辺で家畜化がなされたものだろうと推測されています。エジプトの古代文明における猫の神聖視は、その最初期の歴史を示すものでしょう。ヨーロッパには山猫はいましたが家猫はおらず、エジプトから次第に持ち込まれ広まったものと考えられています。アジアの家猫もほぼ西アジア周辺を起源とし、やはり鼠害を避けるためインドや中国へ輸出され定着したのです。日本へもたらされるのはその後ですから、猫の飼育についてはヨーロッパの方が早く、また伝播の途中で様々な交配があったとしても、起源はほぼ同種のものであったようです。家猫については、何度も書きますが、鼠害防止をはじめとして人間の関わり方もほぼ同じなので、世界中で同じようなタイプの伝承・伝説が生まれるのでしょう。ただし日本における虎・狼関係譚の猫への転換や、キリヤに関する伝承は、あまり世界に例をみません。狩猟採集と稲作農耕が絡み合った列島文化において、猫が独自の位置を占めた物語といえるでしょう。