2012-01-12から1日間の記事一覧
どうでしょう。やはり、犬や猫の置かれている環境は、様々な「愛玩種」の創出も含めて特殊でしょうね。冗談ではなく、「カワイイ」というカテゴリーで捉えられる一連の動物群については、現代人の心性を表していて興味深いと思います。人間が固定化した枠組…
唐代の段成式が編纂した、『酉陽雑俎』続集巻一/支諾皐上に載る「葉限」という娘の物語などがそれです。平凡社の「東洋文庫」というシリーズに日本語訳がありますが(このシリーズだと第4巻)、これは大学の端末からみることができるJapan knowledge+で、…
講義でもお話ししましたが、狐も狸も、野生と文化の境界に現れるもので、山や森から来て里に出現するという存在なのです。一方の猫は、家の中から出てきて、やはり野生と文化の境界に出現する。両者は境界線を挟んでシンメトリーの関係にありながら、"マージ…
以前に紹介した宇多天皇の日記において、彼が可愛がってやまなかったのは黒猫でした。よって、日本にはもともと黒猫を忌む発想はなかったものと思います。恐らくは、中世ヨーロッパにおいて、猫が悪魔や魔女に属するものとカテゴライズされたとき、それらを…
なぜなんでしょうね。恐らく動物学的にはさほど大きな理由はないかもしれませんし、また「死ぬ直前に姿を消す」という人間側の認識自体、誤解かもしれません。自分が飼い主のつもりになっていたら、実は餌をもらっている家が複数あった、という猫も多くいる…
実は、『信貴山縁起絵巻』や『石山寺縁起絵巻』に描かれている猫は、首紐を付けている、いわゆる紐飼をされているんですよね。『枕草子』89「なまめかしきもの」にも、「いとをかしげなる猫の、赤き首綱に白き札付けて」と出てきますし、『源氏物語』若菜上…
なぜなんでしょうねえ。いろいろ象徴的解釈はできると思うのですが…恐らくは、ブーツを履くということは二足歩行が前提になるので、立ち上がって踊る猫の延長にあるものなんでしょうけどね。しかし、物語の流れとしては、王様に拝謁するための礼装の、最低限…
ご指摘のとおりですね。昔話研究、神話研究などでいう「見るなの禁」の問題です。ただし「鶴女房」譚や、日本最古の「見るなの禁」譚である『古事記』の黄泉国神話では、主人公と結婚した異類らが「見てはいけません」と禁止をかけるものの、主人公がその約…
これはまだ詳しく考察したことはないのですが、狼や虎が人に化けて人間社会にもぐり込んでいる話と、猫が人に化けて人間社会に潜んでいる話とでは、同じ内容でも意味が異なるのではないかと思います。前者は中国発祥ですが、少し授業でも触れたように、虎ト…
朝鮮半島には、中国と同じようにトラ・トーテムの痕跡があります。地続きで隣接しているだけあり、朝鮮の諸伝承には中国由来のものが多いですね。我々はどうしても近代の国家イメージで捉えてしまいがちですが、朝鮮族も倭人も、中国の56民族と同じレベルで…
平安時代の王朝文化といっても、すべてが先例に則って動くわけではありません。遣唐使廃止以降も、中国からは様々な文物が積極的に取り入れられていましたし、人々は新鮮なものを求め、新しい文化を生み出していました。以前にもここに書きましたが、王朝文…
家猫の起源は概ねリビア猫(Felis lybica)とされていて、まずエジプト周辺で家畜化がなされたものだろうと推測されています。エジプトの古代文明における猫の神聖視は、その最初期の歴史を示すものでしょう。ヨーロッパには山猫はいましたが家猫はおらず、…