〈殺された女神〉の神話は東アジア、東南アジアに広くみられるとのことですが、同じように「土器を破壊する文化」もみられるのでしょうか。

土偶祭式説に則って土偶の破壊について考えた場合、それは一種の供犠の意味を持つことになります。ハイヌヴェレ神話自体、彼女が排泄物から生み出す種々の宝物を狙った男たちによって、彼女は殺されてバラバラに切り刻まれ、その身体の各部より栽培作物が生じるというストーリーになっています。ハイヌヴェレは殺害=供犠されることで大地と一体化し、作物の温床になったといえるかも知れません。この場合、殺害を性交渉のメタファーとみることも可能です。供犠による破壊は、それが人体であれ、動物であれ、その他の代替物であれ、それこそ世界各地に確認することができます。