2012-05-07から1日間の記事一覧
〈死と再生〉の信仰は、世界中のあらゆる文化に痕跡を認めることができます。後に詳しくお話ししますが、古墳時代の古墳、とくに前方後円墳の形状などは、中国の神仙思想と密接に関わっています。あれは死者が神仙として復活するための施設であり、それゆえ…
講義でお話しした、竪穴式住居の入り口付近に埋納する形式など、まさに一種の水子供養だといえるでしょう。
屈葬については、身体を丸めることに意義があったようで、それ以上に特別な姿勢は要請されていないようです。問題は、縄文期を通じ屈葬から伸展葬への移行が認められること、東日本は屈葬、畿内など中央部では伸展葬、西日本では二分化との地域的相違もみら…
投棄されたものもありうるでしょうが、大部分は、埋葬された形のものです。貝塚は確かにゴミ捨て場ですが、近現代で考えるそれとはやや異なっており、埋葬穴を掘る、土器棺を用いるなどして、人骨を埋葬する場所としても使用されていたのです。これはやはり…
(私は詳しくないのですが)一般には、寺院において少年を女性の性的代替物としたことから始まったとされており、女性の穢れが強調されるようになると、男色こそ清浄かつ崇高な恋愛であるとも考えられるに至ったようです。僧侶の女犯は戒律で禁止され、僧尼…
土偶祭式説を唱えた水野正好氏は、女性土偶の作成やその祭式を担ったのは女性自身であったろうと考えています。まず民族社会においては、土器作成は一般的に女性のジェンダー役割であることがヒントになっています。また、土偶に生命エネルギーが宿るのは、…
土偶祭式説に則って土偶の破壊について考えた場合、それは一種の供犠の意味を持つことになります。ハイヌヴェレ神話自体、彼女が排泄物から生み出す種々の宝物を狙った男たちによって、彼女は殺されてバラバラに切り刻まれ、その身体の各部より栽培作物が生…
必ずしも妊娠のための信仰、というわけではないですね。土偶が妊娠する姿が多いのは、あくまでそれが生命力に充ち満ちた状態の表現だからです。妊娠を祈るというより、妊娠自体を象徴的に捉えているということです。また、自らの治癒のために土偶の患部を壊…
例えば、岩手県盛岡市川目から縄文後期〜晩期、北海道千歳市蘭越から縄文晩期の、男性性器を持った男性土偶が出土しています。講義では土偶祭式の話をしましたが、もちろんすべての土偶がその仮説で説明できるわけではありません。ほとんど損壊されない状態…
女性器とセットとして生命力を生み出す源とみられるとともに、やはり男性の力強さの象徴と考えられたのでしょう。講義では限られた写真等しかおみせしていませんが、生殖器崇拝は縄文に本当に顕著にみられるものの、それ以降の時代にも着実に受け継がれてゆ…
講義でもお話ししたように、縄文期にも死者を恐れる意識は存在しました。しかし、その死体をあえて集落の中心へ移動させたのは、死者に対し恐怖を越える社会的機能を見出したためでしょうね。それだけ、集落や共同体の結集が必要であったということですから…
暦を持たなかった縄文時代の人々が、現代でいう夏至にいかなる認識を持っていたかは分かりません。しかし、大湯遺跡での計測が事実ならば、それによって、「何らかの特別な意識」を抱いていたのだと知ることができるわけです。狩猟採集社会に生きていた彼ら…
回忌終了云々との説明は、50回忌を終えた死者は個体ではなくなり、霊界(山など)に入って祖霊と一体化するとの考え方ですね。確かに、柳田民俗学などではそれに類する形で解説されますが、それが唯一の考え方というわけではありません。「祖先」や「先祖」…