縄文時代の人々は、妊娠のために精霊信仰を行っていたということでしょうか。 / 土偶は、自分の身体の悪いところを壊して治癒を願う呪いだったと習ったのですが、この説は間違っているのでしょうか。

必ずしも妊娠のための信仰、というわけではないですね。土偶が妊娠する姿が多いのは、あくまでそれが生命力に充ち満ちた状態の表現だからです。妊娠を祈るというより、妊娠自体を象徴的に捉えているということです。また、自らの治癒のために土偶の患部を壊すというのは、後世の人形(ひとがた)と同じ発想で、土偶を自分の身代わりするというわけでしょう。しかし、損壊された土偶は、どこか身体の一部が破壊されているというよりバラバラになっていることが多く、私は〈殺された女神〉を介して理解する方に蓋然性を感じます。