穂落神として崇められたというツルと米との関係について、「ツルも米も白いもの」というのは、米が精米された情況でのみ成り立つ連想ではないでしょうか。弥生時代から精米の技術はあったのでしょうか?

日本列島において穂落神として確認できる鳥はツルですが、講義でもお話ししたようにこれは中世になってからの話です。考古学ではこれを銅鐸・土器絵画の長頚・長脚鳥に援用し、ツルやサギであるとの解釈を持ち出しているわけです。中世のツル信仰は、精米された米の白さとの連想でしょうが、弥生期の米作りにおいては、必ずしも「白」で説明することはできません。しかし、水田に降り立つ真っ白な鳥を、稲魂を運ぶ神聖な動物と捉えたであろう可能性も、また否定できないかと思います。