古代の首長や王の埋葬では、多くの祭器や宝器が副葬されていますが、なぜどのような地域でもこの種のことが行われたのですか。また、今そうしたことが行われていないのはなぜですか。

一口に副葬品の埋納といっても、時代によって意味づけが異なる場合があります。例えば、祭器・宝器自体に神聖な力、呪術力が認められているような時代では、その埋納は死者を呪的に防御するためといえるでしょう。また、古墳のなかが死者の住居と考えられるようになると、埋納品は死後の世界での安泰を願うもの、生前と同じような生活をさせるためのものへと性格を変えてゆくことになります。現代では他界観が古代とは異なるため、例えば仏教などでは「死後も執着を生じることになるので、財産を一緒に埋葬するのは問題」と、副葬品の埋納を抑制しています。それでも、火葬の前に棺桶を菊花で満たしたり、思い出の品を差し入れることはあるので、未だ古代と同じ心性が継続していると考えることも可能でしょう。