日本の律令制など国家の基礎となるものは中国からの輸入だと思うのですが、日本と中国の罰則や規律はどちらが厳しいものなのでしょうか?

やはり、中国律の方が厳罰主義で、日本はその実状に合わせさまざまに緩和されています。もともと、律に貫かれているのは、中国の儒教的な価値観、倫理観でしたので、それを共有していない日本列島では、なぜそれが罪悪になるのか分からない、処罰されるのか分からない、という情況であったはずです。すなわち、律を適用するには、一定の社会改造が必要であったわけです。しかしながら、それは律令政府が意図したとおりには進まず、日本律の適用のあり方を網羅的に調査した研究者によると、その大半は条文どおりには行われていないということが判明しています。律の運用は、各時代固有のものの考え方、政治的局面に著しく左右されていたのだといえるでしょう。