歴史上、天皇家以外のものが、天皇を皇族もろとも葬り去ろうとしたことはあったのでしょうか。 / 王殺しは公的に認められたものだったのですか?

崇峻の例は、現役大王=天皇が暗殺された唯一の例ですね。しかし、親王や諸王には殺害の例があることを考えると、それは皇族の血というより、地位の問題だったのかもしれません。いずれにしろ、その地位や皇統が不明確であった6世紀以前は、大王家の継承には実力重視の面が強かったと考えられています。ヤマト王権には幾つかの大王を輩出しうるグループが存在し、結集した勢力の承認を得て、全体を統括し利害関係を調整する盟主になってゆく。その過程で抗争が生じたことは、『書紀』にも断片的に記録されています。我々が「天皇の地は神聖である」と考えるのは、多く近代以降の「刷り込み」によるところが大きいのです。