昔話には、今回のように動物が人になりたがる話は多いですが、逆のパターンはみません。なぜそうなのでしょうか。

いえ、そんなことはありません。今回の話も、ちゃんと聞いてくれていれば分かったはずですが、動物が人間になりたがる話はひとつしかしていません。動物と人間が同じレベルにいて、それぞれ自由に人間の姿になり、動物の姿になったりするのです。これが古い形態の異類婚姻譚です。動物が人間の姿になりたがる、あるいは動物の姿をしていても魔法にかけられた王子だった、といったものは、ヒト中心主義が成り立ちねじ曲げられた後世のものです。