環境史を追求してゆくうえで重要なことは、文献か絵図か現地の調査なのか、詳しいことを聞かせてください。

そのすべてですね。結局、環境史のなかでも、何を明らかにしたいのかという具体的な対象、問題設定によって、用いる方法やその重要性は変わってきます。心性や感性を探る分野なら文献や絵画が重要でしょうが、例えばそのなかでもある地域の樹木観について探究しようと思えば、その地域の植生を復原するための考古調査、自然科学的な分析などが必要になってきます。ゆえに環境史は、人文・社会・自然の諸科学を横断する「越境的学問」といえるかもしれません。