東日本大震災が、歴史に大きな影響を与えていると知り、9.11の同時多発テロも、今後の歴史研究と関わってくるのかと考えました。

9.11は対テロ戦争を将来し、世界を泥沼の戦いへ引きずり込みましたから、その後の「歴史」の展開には極めて大きな影響を与えていますね。学問の世界でいうと、一神教vs多神教という、何の根拠もないキリスト教批判、イスラム教批判を流行させてしまったのは大きな弊害でした。現代の宗教学の水準では、「一神教」「多神教」という区別自体がナンセンスなものと捉えられています。例えばキリスト教にも、天使や悪魔などの形で多神教的要素が採り入れられており、聖母マリア崇拝など、大地母神水の女神などと習合した信仰形態も見受けられる(巡礼地として有名なルルドの泉など、その典型です)。一方、多神教の代表のように語られる仏教にも、すべての仏や神々を阿弥陀如来の力の反映とする、一神教的な要素も存在する。東日本大震災のおりにも似たようなことがありましたら、事件や災害を「食い物」のようにして語られる軽薄な言説には、注意と警戒を向ける必要がありますね。