2014-04-19から1日間の記事一覧

講義の趣旨からは逸れますが、「柳田民俗学は民衆の生活から少し乖離している」との批判を聞いたことがあります。それは欠点だと思いますか?

スタンスと内容の双方において、そうした批判に該当する面のあることは否めません。しかし、当時の「学者」というものの社会的位置から考えて、やむをえないことでしょう。そもそも、口頭伝承に基づく「常民」の歴史を思考したこと自体、画期的です。柳田は…

東日本大震災が、歴史に大きな影響を与えていると知り、9.11の同時多発テロも、今後の歴史研究と関わってくるのかと考えました。

9.11は対テロ戦争を将来し、世界を泥沼の戦いへ引きずり込みましたから、その後の「歴史」の展開には極めて大きな影響を与えていますね。学問の世界でいうと、一神教vs多神教という、何の根拠もないキリスト教批判、イスラム教批判を流行させてしまったのは…

「物語は記憶の大切な媒体である」という言葉について、物語を介することで失われる記憶もあるのではないかと疑問に思いました。また、災害を知る人が少なくなると、話がステレオタイプ化して、一定の情報量しか伝わらなくなることがあるのではないかと、最近の風潮をみて考えています。

そうそう、仰るとおりです。こちらの講義では、その「物語りの限界」もしっかり押さえてゆきます。講義を先取りしてしまいますので、とりあえず「乞うご期待」。

津波被害にあった文化財をクリーニングするという話がありましたが、紙など文書の場合にはどのように行うのですか。

東日本大震災直後、国立国会図書館OBら紙文書の専門家によって形成された「東京文書救援隊」の考案したマニュアルへリンクを張っておきます(→こちら)。ちなみに、東北地域でも博物館の所蔵目録などはデジタル化が進んでいたのですが、CDやDVDなどの光デ…

無形文化財の被災について、後継者の断絶による以外に、災害特有の理由などはあるのでしょうか。 / 共同体の構成員がいなくなってしまうことで無形文化財が失われる、という話がありましたが、例えば神社が消失してしまうことで、神楽などが存続できなくなることはあるのでしょうか。また、神社が再建されたからといって、すぐに神楽を復興することはできるのでしょうか。

津波による被害、原発事故による立入禁止区域の設定によって、他の場所への避難を余儀なくされ、コミュニティ自体が解体してしまうという場合があります。今回の震災は、それ以前から東北に潜在していた問題を一気に表面化、かつ深刻化させたといわれていま…