花粉分析についてですが、花粉はそれほど長い間存続するものなのですか。 / 花粉など、いかに低湿地に堆積しようと非常に不安定で、流動的であるかのように思うのですが。

花粉は、植物にとって生殖のための極めて重要な「機関」なので、構造は極めて強靱です。一般に水域などでは極めて保存性が高く、陸上でもバクテリアなどの侵蝕で損壊される場合があるものの、とにかく天文学的な数量で産出されますので、やはり堆積層から大量に検出されるのが普通です。しかし質問にあるように、(虫媒/風媒の相違はあるものの)もともと遠くへ撒布し生存領域を広げることを目的とするため、産出体の付近には止まらない場合が多いといえます。川や海など流水のある場合はさらに遠くへ運搬されますので、そうした拡大範囲のことは常に考慮し、植生復原をしなければなりません。ゆえに、周囲を山で囲まれた湖沼、水の運動の少ない汽水湖などは、試料を得るのに最適なのです。