法医学の授業で、死体の色の変化が恐れられてオニになったという仮説を耳にしました。実際に学説として存在するのですか?

それは少し難しいですね。「鬼」字はそもそも死体を表し、やがて死霊を意味するようになりますので、オニと死体を結びつけることには一理あるのですが、古代の絵巻物などにみえる初期のオニは、とくに赤色や青色をしているわけではありません。また日本には、人間の死体が腐り崩れてゆく過程を描いた「九相図」というジャンルの絵画が残っているのですが、その描写は極めてリアルで、赤や青といった色へ単純化されてはいません。