骨卜が未だ日本で行われているということに驚きを隠せなかった。現在それはどのようなあり方で実践されているのか、当初と変わらず呪術としてなのか、あるいは観光の一種としてなのでしょうか。

骨卜・亀卜は、それを最重要の卜占と位置づけていた中国においても、そのあり方を踏襲した日本においても、世界を把握するための最新の科学であったわけですから、現代的な意味での「呪術」という表現は、必ずしも正しくはありません。しかしそれが、古代以来の宗教的行為として持続的に行われているのか、という問いであるとすれば、答えはイエスです。現在でも神事として継続しており、作法的にも、アジアでは少なくなってしまった一点焼灼の方法が採られています。しかし日本列島の古代祭祀は、「太古の伝統をそのままに伝える」といいつつ、中世〜近世の間に断絶し近世末〜近代に復興されていることが多いので、どの程度の連続性があるのかについては厳密な検証が必要です。伴信友の「正卜考」など、古代との間隙を繋ぐ論考があるのも、一因かもしれませんね。