狩猟をする際には、例えばオスの鹿でなくてはならない、メスの鹿ではなくてはならない、などの考え方はあったのでしょうか。

当時どのような狩猟が行われていたかは不明な点が多いのですが、現在の狩猟採集文化では、メスや子供の獲物を必要以上に狩猟してはならない、とする禁忌が伝えられた地域もあります。例えば、北アメリカのトリンギット・インディアンには、主人公の狩人が精霊の国で人間の女性の姿をした山羊たちと交わり、多くの子供を残す。人間の国に帰る際に、山羊の妻から、「メスの山羊を獲ってはいけません。それはあなたの妻だからです。子供の山羊を獲ってはいけません。それはあなたの子供だからです」と警告されます。これは、必要以上の狩猟によって生態系のバランスを壊してしまうことを防ぐための知恵だ、といわれています。