水の少ない地域では、その代替物として役割を果たしたものはあったのでしょうか。 / 水辺が長く大切にされてきたことを納得しましたが、森林が信仰の対象となったのはいつ頃、何がきっかけだったのでしょう。

森林については、やはり水辺と同時期から信仰の対象にはなっていたものと思われます。半定住は、魚介類の栄養素・カロリーだけではなく、土器の発明に基づく煮沸やアク抜きによって、ドングリや胡桃、栗などのでんぷん質堅果類を消化できるようになったことで実現します。よって、水辺と同じ目線が森林にも注がれたといっていいでしょう。しかしそうした心理と併行して、これらを伐採し水田化する開発熱が高まってゆき、最終的に森林は水に凌駕されることになったといえるかもしれません。日本列島は水が豊富な地域なので、どこへ行っても水の神聖化はみられますが、代替物としては山や森林になるでしょう。しかしこれらも「水瓶」であるわけですから、やはり水への信仰こそ規定的なのだといえるかと思います。