卜占に関して、王には災害を予知する義務があったのでしょうか。災害予知が、王の存在意義なのでしょうか。

中国に限らず、前近代社会・民族社会における王とは、自然環境と密接に結びついた存在です。フレーザーの『金枝篇』によると、かかる王は自然、世界、宇宙と一体であるとみなされ、王の身体に異変の生じた場合には、同じことが世界に起きないよう殺害されてしまいます。その意味では、災害は王の存在意義のうち本質的な部分を占めているといえるでしょう。災害・怪異を天子に対する譴責とみる災異説も、必然的に生み出されたものといえるかもしれません。