大化改新を契機に中央集権が進んでゆくなか、結局農民の生活はどのようになっていったのでしょうか。 / 乙巳の変は中央では大きな事件だったでしょうが、地方の人々にはあまり影響がなかったのではないかと思います。

各地域の民衆たちには、生活を保障されるかわりに、共同体の首長へさまざまな形での貢納が要請されていました。それは時代や地域により差異があったと思われますが、中央集権化が進行し税制が全国一律に整備されることで、直接国家による種々の税の賦課が行われ、その前提として個々人の情報が王権・国家により把握されることになった。地方行政の改変に伴い住む場所なども規制される、変更されるとなれば、日常生活にはさまざまな軋轢が発生したと考えられます。実際に壬申の乱の際に、近江朝廷/大海人軍双方の動員した軍事力は、各国が庚午年籍に基づき徴発したものであったと推測されています。現在と同じように、戦争に駆り出されるリスクも一層増したものと思われます。なお乙巳の変の地方的影響については、蘇我本宗家と結びついていた伴造、渡来系氏族、種々の領地においては、深刻な事態の生じたところもあったのではないでしょうか。