災害から生き残った人が、罪悪感を感じるということがよく分かりません。普通、災害を避けられたことは幸運だと思うのではありませんか。

冒頭の単元で、「サバイバーズ・ギルト」のお話をしたと思います。これは事故や災害の際、自分の大切な存在を失ったひと、肉親を失った人たちにみられる心理状態です。自分ではなく、なぜ他の人が死んでしまったのか。とくに、子供や妹、弟、恋人など、自分が守るべき存在と認識していたものを亡くし、自分が生き残ってしまった場合は、そうした罪悪感を抱きやすくなってしまう。東日本大震災の折には、東北が中央の「食い物」にされてきた歴史が喧伝されたこともあり、一時期、「一億総サバイバーズ・ギルト」ともいえる情況が出来しました。