疫病に感染するかどうかは、当時は運のようなものだったのでしょうか。あるいは、何か必然的な理由は見出せるのでしょうか。

先日の授業でも話をしましたが、やはり衛生的な理由や、飢饉その他による疲弊も大きな原因と思います。いまでもそうですが、身心が健康であれば、人間は病に対してもかなりの抵抗力を発揮するものです。感染力の強い疫病が流行した場合は、やはり身心の気力が衰えて抵抗力が弱くなっているもの、子供や老人などから被害に遭うのが普通だったでしょう。天平9年の天然痘のように戸主クラスの男性が軒並み亡くなっているのは、その猛威を想像して余りありますが、少し視点を変えてみると、それだけ課役労働の負担が大きかったとみることもできるかもしれません。