史料37について、病から快復する過程で食べてよいものについて、海産物が多く記されているのが気になった。

これは私も気になるところです。ただし、五位より下の下級貴族から庶民までの食卓を考えた場合、一般に肉が料理して出されるのは稀なことで、動物タンパクといえば魚介類が主要だったでしょう。当時の贅を極めた長屋王の食卓にも、蛤、鮎、水母、鯉、海鞘、蟹、氷魚、蛸、栄螺、鮑、海老、鯛、鱒、鱸、鰹、鮭、雉・鶏・鹿・猪と、やはり魚介のバリエーションが豊富に上っています。現実に即した説明だったといえるでしょう。