米の伝来ルートについて、幾つか意見が分かれているようですが、私が台湾に行ったときにかなり米が違っているように感じました。台湾のように近い場所でもここまで違うのに、いくら大昔といえど、ここまで伝来ルートに差が出るのでしょうか。

まず誤解のないようにしておきたいのは、現在私たちが食べている米は長い時間をかけて品種改良されたものであって、古代の米とは違います。縄文時代から列島へ入っていた米は熱帯ジャポニカ種弥生時代に入ってきたものは温帯ジャポニカ種ですが、現時点ではともに中国南方の長江流域で発生した可能性が高いとされています。これらがどのようなルートを辿って列島へやって来たのかは、大陸・半島の各地に残る稲作遺跡の痕跡、それに伴う文化などから、DNA分析などの自然科学的データ、農耕具類や土器絵画などから判明する考古学的な比較によって研究されます。その結果幾つかの異なる見解が生じてくるわけです。