飛鳥時代や奈良時代に頻繁に遷都が行われるが、逆に不便ではないのだろうか。昔と今では、首都に対する考え方が違うのだろうか。

古代日本に遷都が多いのは、歴代遷宮制の遺制です。すなわち、もともと大王が住む宮は一世一代のもので、嗣王は他に新たな居所を築くことになっていました。それが、宮自体の大規模化(大王の居所に、王権業務の複雑化による種々の施設・機関が付加されていった)や建築資材の不足に伴い再利用が進み、ついに中国的都城が導入されるに至って、大王の移り変わりに影響されない恒常的な空間が目指されるようになるのです。大王の居所と政庁だけでなく、庶民の居住地である都市が付属するようになったのも原因でしょう。