『枕草子』では、藤原伊周はしっかりした頼れる人のように書かれていますが、『栄花物語』ではけっこうヘタレに描かれています。どちらが本物の彼なのでしょうか。

うーん、残念ながらそれは分かりません。しかし、同一人物について個々の史料で描き方が異なっているのは、その史料の書き手の主観、書き手と当該人物の関係のあり方などに基づきます。記録のあり方が多様であればあるほど、その人物が立体的に浮かび上がってくるということです。