自然のもの(草木動物など)を神として崇めるのは非西洋的だと感じたが、西洋でもこのような習慣はあるのだろうか。

古代にはもちろんありましたし、現在でもキリスト教と融合しながら、アニミズム的なものはしっかり残っています。例えば、南フランスのルルドをはじめとして、近代のヨーロッパでは、各地で聖母が出現しその場所が聖地化されるという事件が起きています。その顛末、なぜ聖母が幻視されたかは、関一敏さんの『聖母の出現』に詳しいですが、注目したいのは、それが森や泉などの自然地形において現出している点です。背景には、それらを神聖な場所と崇め、女神や精霊を垣間見た民間信仰が存在するのです。