大きな枠組みのナショナル・ヒストリーより、小さな枠組みの地域史の方が、自分たちの生活に役立つような気がします。そのような歴史は、ふつう、歴史に関心のない人は知ることがないと思うのですが、一般に知られるようにするためにはどうすればいいでしょうか。

いわゆる郷土史、地方史、地域史は、県や市の行政単位でも研究と編纂が進められ、各自治体史・史料集が完成しています。地域の博物館、歴史資料館などでも、各地域固有の歴史のあり方を発信しており、学校の授業や市民活動にも取り入られているはずです。一般の書籍としても、かなりの量が販売されています。もしそれらが市民権を得ていないとすれば、それは「一般社会」の「歴史への関心が希薄である」ことを示しているのでしょう。