曇鸞の引用のなかで、呪文の前に歯ぎしりをするという動作が出てきました。これが「月」に当たるのか「指」に当たるのか、考えると面白い問題なのではないでしょうか。

なるほど、それは面白い問題です。原文では、これを「切歯」としていますので、どう訳すべきか悩んだのですが、道教的な作法として「歯ぎしり」としました。道教では、言葉を唱える際に何らかのアクションを取る、ということが多いですね。ひとつの効能を生じさせるための契機として、言葉とその読誦、特定の動作が一体としてあるのだとすれば、歯ぎしりも「指」ということでしょうね。