松島における縄文遺跡に津波被害が出なかったお話ですが、縄文時代の人々に災害に対する知恵があったとすれば、どのような方法で記録がなされたのでしょうか。

授業では、そうしたことではなく、あくまで環境の利用の仕方、生活の仕方に由来することと説明しました。しかし実際に災害への知識が伝承されていたとすれば、それは神話など口承の語りによってでしょう。土偶や環状祭場の遺跡を通じて、縄文時代にもシャーマン的な職能者がいたらしいと推測されています。後世の事例、あるいは民族社会の類例から考えてゆくと、そうした宗教者階級が神話や歴史を管理している場合が多い。世界各地の原始神話のなかにも、洪水その他の災害を伝えるものが多くあります。縄文時代にも、そうした形で災害への警告がなされていた可能性はありますね。