「血統」の範囲が狭まれば狭まるほど、権力体の分裂の危険は少なくなり統一性は高まりますが、逆に選択肢が限定されるため、質の低下や断絶の危機は高まることになります。これらを回避するためには、継承の道筋をある程度豊かに広げておきつつ、そのランクを明確に定めるということ以外ありません。日本の王権の場合、そのあたりを巧く進めてきたのではないかと思いますが、しかし継承が繰り返される過程で天皇個人の資質に依存する仕組みは衰え、貴族の合議制により天皇を補完するシステムが重視されてゆきましたので、結果として王の質が低下しようがさほど大勢には影響がない、そうした情況が形成されるに至ります。