神話の生産・普及とありましたが、どのように普及させたのでしょうか。当時の識字率がどれくらいかということにもよりますが、低ければ口頭ということになるのでしょうか。

神話とは本来、口頭伝承として語り継がれ、広がってゆくものです。古代においては、それを職掌とする部民の語部や、伴造氏族の語臣などが存在しました。文字としての普及よりも、そうした語りのネットワークこそが社会に根付いており、王権は新たな神話や神々の系譜である神統譜、祭文や祝詞などを創出しつつ、その口頭の仕組みを使って新たな思想を喧伝したのだと考えられます。いわゆる和歌なども、そうした試みのなかから誕生してくるのです。