7〜8世紀のことを記録した史料に「大夫」との名称が出てきますが、これは江戸時代の遊女の「太夫」などと関係があるのでしょうか。また、「穴穂部間人女王」など、部は奴隷のことなのに、なぜ天皇や皇族の名称に使われているのでしょうか。

「大夫」は、中国で政治に参与した貴族層を表すのに用いたのが始まりで、ヤマト王権の表記もそれに乗っ取っており、マエツギミと訓読みします。これは古代・中世を通じ、政治・社会・経済において高位に立つ人物の称号のようになってゆき、近世には、神道系、陰陽道系の宗教者も「大夫」と呼ぶようになります。近世の遊郭において、行為の遊女に「太夫」の称号が付くのもそのためです。