戒律への違反について、教団が罰を下すということがよく分かりませんでした。また、不殺生戒が国家の法律になる場合、違反すると罰を下すのは国家や王権なのですか。

律は共同体の守るべき決まりですので、その行いが共同体の秩序を乱す、共同体の存在目的に明確に違背する、どうした場合に重い場合には追放、軽い場合には謹慎や労務が課されるということになります。国家による殺生禁断令の場合には、もちろん処罰は国家が行います。しかし明確に規定しない場合の方が多いですね。古代日本では、詔勅に違反した場合の罪として「違勅罪」の課されることが多かったのですが、これは量刑が確定しておらず、詔勅の発布・施行過程で官人が誤り犯した場合の規定である、職制律詔施行違条に照らして徒(懲役)2年を課すか、軽い場合には笞や杖による、いわゆる「叩き刑」が多かったようです。