儒教と仏教は具体的にどのような違いがあるのか。また、仏教は現在でもよく聞くが、儒教のことを聞かないのはなぜなのか。

儒教は、現実社会を君主を頂点とするピラミッド構造として安定させるため、それぞれの階層を構成する君主、士大夫、庶民らの実践すべき倫理、行動を説いたもの。仏教は、現実の世界を永遠の苦しみと捉え、そこから解脱するための方法を説いたものです。仏教は東アジアに入ると次第に儒教道教の影響を受け、例えば儒教の根幹をなしていた先祖崇拝なども担うようになってゆきます。例えば、家々にある仏壇などは、本来は儒教において先祖を祀る霊廟の祭壇であったものです。位牌も儒教のもの。にもかかわらず、現在日本で儒教の印象が希薄にみえるのは、江戸時代、官僚化した武士を統治するために用いた儒教が、その時代を支える一般教養と化し、しかし明治維新により封建時代の遺物として忘れ去られてしまったためです。