日記の慣習は、どの階層にまで広がっていたのですか。

授業でもお話ししましたが、古代の日記は、近代以降の、自分の一日の行動を書き留める、プライヴェートな意味での日記とは性格を異にします。とにかく、未来の自分の子孫たちが宮廷社会で生き残ってゆくために、あわよくば発展してゆくために、先例や有職故実の知識になりうる事柄を記録していったデータベースです。よって、識字層であることはもちろんですが、家を保持する必要のある貴族たちにしか浸透はしませんでした。