国民的歴史学運動の展開について、マルクス主義の考え方から、どう個々の主体のあり方に沿った歴史の形成へ、という視点が出てくるのでしょうか。

マルクス主義は、歴史の主体を支配層よりも民衆、農民や労働者に置いたのです。現状の資本主義的イデオロギー情況を打破するためにも、民衆の覚醒が第一であり、その主体形成に寄り添わねばならない。そうした発想から、個々の生業に基づく国民的歴史学運動、そして民衆史や女性史などの視点が生じたのです。