古代の環境破壊は、自然を使いつつも共存するという意識が、人々の内にあったのではないかと思います。

現在でも、自然との共生を願って抑制的な生活をしている人もいれば、環境破壊を何とも思わない人もいます。古代においても、いろいろな考え方を持った人がいたでしょう。すでに自然のバランスを崩すのはよくないという発想は、紀元前の中国に存在しますので、列島文化にも将来されたか、あるいはもともと醸成されていた可能性もあります。しかし一方で、自然を人間のもとに屈服させようとする考え方も存在しました。天皇制などは、まさにそうした考え方、自然の象徴である神を天皇に従わせる、従わなければ殺してしまってよいというイデオロギーのなかから生まれたことは、古代史研究を通じて明らかにされています。