神話と歴史を非現実性の高低で考えると、より非現実性の高い神話は、教訓・模範を生み出さないと思います。

いえむしろ、神話はその発生の段階から、ずっと教訓・模範など倫理や道徳の源泉として、また逆にそれらを破壊・更新する可能性の起源として、語られてきたものです。何度もいいますが、現実性や事実性でものごとを判断してしまうのは、ぼくらがそうした世界観のもとで教育され、そうした認識を身体化されてきたからに過ぎません。それらを一度括弧に入れることができなければ、前近代世界や民族世界を了解することはできないのです。