文明は男性、野生は女性のイメージとして、ヨーロッパや中国では考えられてきたとありましたが、現代日本の男女間のイメージは、逆なのではないかと考えました。

「男は狼なのよ」なんて歌が、昔ありましたね。しかし現在でもやはり、人間の認識の根底的なところで、文明・文化を代表するのは男性であり、女性はそれに対して自然に属する存在、との位置づけは濃厚に残存しています。例えば、テレビの情報番組やバラエティ番組でも出てくるような、「男性は論理的、女性は感性的」との言説。あたかも心理学的、あるいは脳科学的に根拠があるように語られますが、概ね似非科学で、男性目線を正当化するものに過ぎません。生理や出産の問題が、その根底に置かれているのは確かです。男性中心主義的な認識枠組みにおいては、生理や出産は自分の身体的機能にないもの、理解を超越したもの(あるいは理解しようとする気持ちも起こさず、無視・排除の対象とするもの)なので、それらを外部化し、周縁化し、文化に対する自然の領域へ追いやってしまうのです。またこうした考え方のさらに延長上には、「自然は文化によってコントロールされるもの、支配されるもの」との意識が働いているので、注意が必要です。