現代日本では、政界でも親子二代にわたっての首相など、世襲制が強いのが独特だと思います。どうしてここまで強いのか、封建制の名残でしょうか、それとも日本人の価値観の根本に系譜主義的なものがあるからなのでしょうか。
まあ、アメリカでもブッシュが親子2代にわたって大統領を輩出していますし、ケネディを例に挙げるまでもなく、政界に成員を輩出してくる一族はいますよね。いずれの国家、社会においても、ピラミッド構造の上部に位置する階層は、経済的・社会的・文化的資本において、下部にある人々よりも有利に「再生産」が可能です。上層の人々は経済的に裕福なために、教育への高額な投資も可能であり、多くの教養も間近に見聞し身に付けることができ、多様な選択肢を享受しうる。新自由主義のもとでは、下位の人々がより苛酷に搾取され、上位の人々へ富が集中する仕組みが作られてゆくので、この不均衡な状態はさらに深刻化してゆく。世襲的な職業の固定化が起きるのは、そのような背景があってのことで、必ずしも日本独特の事態ではないでしょう。ただし、アジア的共同体においては、共同体の利害は首長によって体現されると考えられています。列島社会のひとつの特徴として、地域や階層の代表者への〈丸投げ〉がより強く出来していることは、否定できないかもしれません。