蛇を食べるという行為について、食べたものを自分の身体に取り込むという発想は前近代にあると思うのですが、蛇が捕食者の邪悪さを助長するといった考え方はなかったのでしょうか? / 現在の猪について考えると、猪はまっすぐしか走れず、蛇を捕まえて食べることができたのか疑問に思います。

確かに、捕食者の力が脆弱だと、かえって食べたものの毒に当てられる、という認識はあったでしょう。今回紹介したガルーダやイノシシの場合は、いずれも天敵的な位置づけをされている動物であったり、神格化されているものなので、立場が逆転するという危惧は抱かれていなかったろうと思います。イノシシの場合は、とくに十二支を方角に配した際、亥と巳はちょうど対角線上に並ぶので、授業でお話しした再生象徴としての競合も含め、実際の捕食関係より、神話的・宗教的位置づけが強かったものと思います。