マルクス主義で、世界経済が最終的に到達すると考えている社会主義、共産主義は、あらゆるものを平等に考えるといわれるが、どこまでの平等を目指しているのか。社会主義=悪というイメージを持つ人が多いので、気になりました。

主眼は、富の再分配にあります。あらゆることが平等、つまり相違のない世界にする、というわけではありません。例えば、数年前に日本でもベストセラーになったトマ・ピケティは、資本主義は格差の拡大によって早晩破綻するとし、それを抑止するためには、国際的な富裕税を導入して富の再分配を促進してゆくしかない、と述べます。これなどは、緩やかな共産主義といいかえてもよいかもしれません。西側諸国に対する東側諸国、いわゆる社会主義国が、極端な計画経済のもと民衆の自由を抑制し、結果として専制体制になっていったことが、社会主義への悪いイメージを植え付けてしまったのでしょう。しかし、本来社会主義専制政治は相容れないもので、マルクスの理想は未だどこの国も実現できていないというのが真相です。いいかえれば、人類は、いまだ社会主義を実現しうるまでに成熟していないのです。