どうして日本は、西洋のような時代区分を採用しているのでしょうか。

授業でお話ししたように、やはりドイツ流の実証主義歴史学を輸入したためです。マルクス主義歴史観において、天皇制の存在する日本は近世絶対主義だとみなされ、近代化を図るためにはまず資本主義革命を経過しなければならないとの議論もありました。そうした意味で日本の「現状」を把握するためには、日本の中世封建制を分析する必要があり、日本に封建制はあったのか、あったとすればいつからいつまでなのか等々、大きな議論となり中世史が重視されました。そうした影響もあって、原勝郎『日本中世史』において、古代・中世・近世の三区分が初めて誕生したのです。