2011-10-12から1日間の記事一覧

文化財レスキューについて、塩分が黴を呼び込むという話があったが、放射能の影響はあるのかどうか気になった。

今のところ、放射性物質で文化財が損壊したという報告は聞いていません。ただし福島原発付近で立ち入り禁止になっている区域では、レスキュー活動を行うことが困難になっています。結果、救助も洗浄もされないまま、重要な文化財が朽ち果てていっている可能…

聖徳太子不在説が強まっているようですが、仮に実在を証明しようとした場合はどんな証拠が必要になるのでしょうか。

「実在を証明する」ということは、「非実在を証明する」ことと同じくらい困難です。仮に「真筆」がみつかったとしても、実在にまったく疑いがなくなるかというと、そうでもないでしょう。すでに死んでしまった人、そして今生きている人が生前の姿を記憶に留…

世界史の場合、日本の教科書には、日本の学会で認められたものが反映されるのか、それとも世界規模なのか教えてください。

学界における西洋史、東洋史分野の議論は、当然世界レベルでなされていますので、世界史の教科書にも世界レベルの知識が援用されています。ただし、各々の国での自国研究の方が、より敏感に微細な問題にまで議論が及んでいますので、それらの成果を充分に掬…

授業の最後で、学会の最先端の議論は不安定だから教科書に反映されないと仰っていましたが、どの程度の段階(学会の議論の段階)で教科書は改訂されるのか、気になりました。

それは、各社教科書の性格、執筆者たちの編集方針によってずいぶん変わってくると思います。極端な例でいえば、「つくる会」系の教科書など、思想以前の問題で、学界の水準がまるで反映されていませんし…。研究者であれば、ある程度定説化して動かないという…

技術や研究が発達して、歴史文献の歪曲や粉飾を発見することができるようになったのだと思いますが、学校で日本史を教える等の場合、真実と架空の話との境界線はどのように決めるのでしょうか。

歴史学が明らかにする過去の世界というのは、これは真実、これは虚構、と明確に区分できるものではありません。蓋然性の高い想定で成り立っているのです。個人的には、それを明確に説明したうえで、現在の定説として、具体的な事柄を解説してゆけばよいと思…