2012-05-25から1日間の記事一覧

歴史の物語りに関して思ったのは、その事象を観測する視点についてです。例でアリスタルコスが挙がっていましたが、現在からみた彼の考えと、当時の有象無象のひとつに過ぎなかった彼の考えとは、違うものなのでしょうか。

アリスタルコスの思想それ自体が言語によって構成されている以上、違うものか同じものかという問いに答えるのは困難です。明言できるのは、例に挙げたようにコペルニクス的転回を経験しなければ、我々はアリスタルコスの思想を現在と同様には読むことができ…

言語論的転回によって素朴実証主義は否定されたとありましたが、素朴ではない実証主義が存在するのでしょうか?

素朴実証主義は、当時の議論の文脈のなかで、単純な実在論への批判的呼称として使われたものでした。それに対して歴史学者は、我々は実証主義者ではあっても「素朴」ではない、批判されているような単純な認識論を持つものは歴史学者にはいない、と反論した…

言語による世界の分節、動物/人間の分節の仕方の違いですが、例えば嬉しさや悲しさといった感情は、身体的記憶として残るものなのでしょうか。

難しい問題ですね。確かに、動物には嬉しい/悲しいといった感情があり、それは記憶として残るはずです。しかしそれは、人間と同じように分節された思い出ではない。嬉しさの内容、悲しさの内容については、言葉によって意味づけされたそれより単純で、バリ…