赤という色に生命や再生のイメージがあるとのことですが、古代人の感覚と現代人の感覚は異なるのではないでしょうか。

とうぜんそうなのですが、生命エネルギーの象徴とみる思想は古代にむしろ強いのです。狩猟採集社会では、現在でも獲物の血を貴重なものとして扱いますし、各宗教ではそれゆえにタブー視する規制も多く存在します。日本の「血の穢れ」もそうでしょうが、『風土記』には、逆に鹿の血を田に注ぐことによって稲を一夜にして実らせるという伝承が出てきます。大きな力を秘めるがゆえに両義的に扱われたのでしょう。