シャーマンの行う儀式も、自然と人間のある種の一体感を自覚するものと捉えられるのでしょうか。
そうですね。シャーマニズムは、やはりアニミズム的世界観と密接な関わりを持った宗教形態です。シャーマンは動物霊や植物霊と交感し、これらを使役したり、自分の霊魂を飛ばして精霊の世界へ往来することができると考えられています。精霊というレベルにおいてあらゆる事物の区別、隔たりは解消され、自由に連絡することができる。普通の人間には困難なことですが、シャーマンはそれが可能な存在であるというわけです。しかし、こう書くとずいぶんと便利なもののように聞こえるのですが、宗教学や人類学の研究によって、修行を積んでシャーマンとして活動してゆく人々は多く望んでそうなったのではない、むしろ大変な精神的苦痛を抱えてそうせざるをえない情況に追い込まれてゆくのだということが分かってきました。谷川健一『神に追われて』(新潮社)に分かりやすい事例が紹介されています。