仏教・本覚思想の部分が少し理解しきれませんでした。つまり現実を真理でないと否定しながらも、その一つ一つに真理及び仏がいるということなのでしょうか。

仏教も他の宗教と同様に、本来的には現実世界を「虚仮」と捉え、仏法のみ真理であると説きます。しかし、インドから西域を経て中国に伝わるうちに、宇宙のあらゆる事象を仏の顕現とする発想が生まれ、それが日本において現実=真理の本覚論となるのです。同じ仏教のなかでも、宗派によってずいぶんと考え方が違いますし、インドの原始仏教、南方系の上座部仏教、中国・朝鮮・日本の大乗仏教では驚くほどものの見方が異なります。地域文化と融合しながら普及していった、仏教独特の歴史が反映しているわけです。